2025.08.11
M&Aコラム
M&Aにおける負ののれんとは?のれんとの違いについて
超過収益力とも呼ばれる「のれん」に対し、「負ののれん」が存在します。M&Aにおける負ののれんとは、一体どのようなものなのでしょうか?今回は、負ののれんが発生する原因や会計処理など、のれんとの違いについてご紹介します。
M&Aにおけるのれんとは?
会社法の施行前は、営業権として扱われてきたのれん。ここでは、まずM&Aにおけるのれんについて見ていきましょう。
- のれんとは?
M&Aにおけるのれんとは、企業の買収時に支払う買収価格と、買収先の企業の時価純資産の差額です。のれんは企業の将来的な収益力を示す指標の一つであり、会計上は無形資産として計上され、税務上は資産調整勘定として扱われます。のれんが発生するのは、買収対象企業が同業他社よりも高い収益力を有している場合や強力なブランド力、顧客ロイヤリティを有している場合です。また、買収対象企業が優れた技術力や特許を有している場合、そして、優秀な人材や組織を有している場合にものれんが発生します。 - 株式譲渡では原則としてのれんは発生しない
事業譲渡におけるのれんは、譲渡対象事業の超過収益力や無形資産、買収側の期待などが複合的に作用して発生します。しかし、株式譲渡では原則としてのれんは発生しません。これは、株式譲渡という取引の性質と会計上の取り扱いに起因します。株式譲渡は、あくまで株主が保有する株式を譲渡する行為であり、会社自体の事業や資産が直接的に売買されるわけではありません。買収企業は対象企業の株式を取得することで、間接的にその事業や資産を支配することができますが、会計上は株式の取得原価と対象企業の純資産額との差額を投資として処理します。従って、買収価格が対象企業の純資産額を上回っても、その差額はのれんとして計上されるのではなく投資の一部として扱われます。また、個別財務諸表においてのれんが計上されないので、税務上の資産調整勘定も発生しません。
負ののれんとは?
M&Aの事業譲渡においてはのれんが計上されるケースが多いものの、負ののれんが発生するケースもあります。ここでは、負ののれんについてご紹介します。
- 負ののれんの発生原因について
負ののれんとは、企業がM&Aを行う際に、買収価格が買収対象企業の純資産額を下回る場合に生じる差額のことです。業績不振や多額の負債を抱えている企業を買収する場合、買収価格は純資産額よりも低くなることがあり、負ののれんが発生することがあります。また、買収対象企業に簿外債務や訴訟リスクといった潜在的なリスクがある時などにも、負ののれんが発生する場合も。また、買収価格が純資産を下回っていたとしても、売り手が望む条件(従業員の雇用、経営陣の処遇、経営方針の維持など)を考慮した結果、負ののれんが発生することもあります。 - 負ののれんの会計上の取り扱い
のれんは貸借対照表に計上されますが、負ののれんは計上されません。これは、負ののれんの会計処理が、通常の資産や負債とは異なるためです。負ののれんは、会計上、取得原価の配分として処理されます。負ののれんそのものが独立した勘定科目として貸借対照表に計上されるのではなく、各資産・負債の評価額を調整する形で処理されるため、貸借対照表には直接表示されません。のれんは一定期間にわたり償却されますが、負ののれんは将来の収益に貢献する資産とは異なり、買収価格と純資産額の差額を調整するための会計上の処理です。そのため、複数年にわたって償却するという概念は存在しません。 - 負ののれんの税務上の取り扱い
のれんの税務上の取り扱いは、会計上の処理と類似する部分もありますが、税務基準により異なる点も存在します。しかし、税務上の負ののれんの取り扱いは、会計上の取り扱いとは異なります。負ののれんは、原則として買収事業年度の損金として計上されますが、税務上の取り扱いは会計基準とは異なり、資産・負債の評価方法や損益の認識時期が影響を与える可能性があります。これは、税法上の規定により、資産・負債の評価方法や損益の認識時期が会計基準とは異なるためです。
まとめ
のれんは、M&Aにおいて買収価格が対象企業の純資産額を上回る場合に生じる差額を指します。一方、負ののれんは、M&Aにおいて買収価格が純資産額を下回る場合に生じる差額のことを指します。発生原因や会計上・税務上の取り扱いが異なるのれんと負ののれんは、M&Aにおける買収価格の決定や、買収後の会計処理・税務処理に大きな影響を与えるため、のれんと負ののれんの違いを正しく理解することが重要です。
最後に
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