M&Aコラム/動画/インタビュー

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2024.03.21

M&Aコラム

M&Aの法務リスク

M&Aを行うに当たり、法律を無視することはできません。法律を無視して実行した場合には、M&Aが失敗に終わるのはもちろん、損害賠償が発生する恐れもあります。M&Aのプロセスは複雑であるため、成功に導くには関連する法務リスクを知っておくことが重要です。本記事では、M&Aの法務リスクとリスク評価の手順について詳しく解説します。

1. M&Aと法務リスク

1.1 M&Aとは?

M&Aは、企業が成長・拡大を達成するために行われる手法です。事業の強化、市場の拡大、新たなビジネスの獲得など、様々な目的を持って行われますが、M&Aにはリスクが伴います。

1.2 法務リスクとは?

M&Aを実施する上で発生する主なリスクは、「財務リスク」、「法務リスク」、「経営リスク」、「人材リスク」の4つに分類されます。法務リスクとは、法律に関するリスクで株式や取引先との契約に関するリスク、資産契約に関するリスク、許認可に関するリスクがあります。許認可が未取得の場合、買い手である譲受企業は事業を継承することができません。そのため、譲受企業は事前に許認可の取得について確認が必要です。また、株式に関する法務的な問題があれば、売り手である譲渡企業の買収価格が減額される可能性があります。いずれにしても、M&Aで起こり得るリスクは譲受企業だけではなく、譲渡企業も十分に認識しておくことが求められます。これらのリスク対策を講じることで、M&Aの成功確率を高めることが可能です。

 
2. M&Aにおける主な法務的な様々なリスク

2.1 株式に関するリスク

会社の設立から現在までの株式移転の詳細が不明瞭であり、株主総会や取締役会などの関連資料が保管されていないケースがあります。その場合株主名簿が存在せず、株券も確認できないため、株式に関するさまざまな不明確な点や疑義が生じることに。これにより株式に関連するリスクが発生する可能性があります。このリスクは買収価格の減額要因になるほか、買収自体が不可能になる恐れがあります。

2.2 契約に関するリスク

重要な取引先との契約が、解約や遂行不能に陥る可能性があります。また、取引先との契約条件が不利である可能性もあり、M&Aを行うことにより経営上重要なパートナーシップが崩れるリスクが考えられます。さらに、賃貸不動産の契約に制限がかかるといったリスクも生じます。取引先との契約に関するリスクは、M&Aを実行する妨げにはなりませんが、買収価格の減額要因になるため注意しなければなりません。

2.3 許認可に関するリスク

事業を続ける上で必要となる許認可の承継ができないリスクがあります。許認可の内容などによっては、承継できるケースとできないケースがあるため、買収前に許認可の内容を精査し、必要な手続きを取らなければなりません。

3. M&Aの法務面のリスク評価手順

3.1 リスク評価の目的

法務面のリスク評価の目的は、M&Aによる経済的な損失を防ぐことです。評価を行うことで、M&Aの可否や条件を判断することが可能となります。

3.2 リスク評価の手順

法務面のリスク評価は、主に以下の手順で行われます。
リスクの特定:まず、M&Aに関連する法務リスクを全て特定します。
リスクの評価:次に特定したリスクを評価します。評価の基準は、リスクが発生した場合の影響の大きさと、リスクが発生する可能性の高さです。
リスクの対策:最後に、評価したリスクに対して対策を立てます。対策は、リスクの種類や評価結果により異なります。

3.2 リスク管理の具体的な方法

リスク管理の方法は、以下の通りです。
リスクの軽減:リスクが発生した場合の影響を軽減するための対策計画を立てます。例えば、法務リスクを軽減するためには、法務デューデリジェンスを行うことが有効です。
リスクの回避:リスクが高いと評価されたM&Aを回避することで、経済的な損失を防ぐことに繋がります。

 

4. 法務デューデリジェンスの重要性

4.1 法務デューデリジェンスとは?

法務デューデリジェンスとは、企業が他の企業との合併や買収を行う際に、法的なリスクや問題を評価するための調査プロセスのことを指します。 このプロセスは、M&Aを成功させるために必ず必要です。法務デューデリジェンスは、対象企業の法的問題を徹底的に精査し、潜在的な法的リスクや責任を洗い出すことを目的としています。

4.2 法務デューデリジェンスの目的

法務デューデリジェンでは、以下の3つの点を確認しなければなりません。
事業継続の障害となるものはないか
対象企業について、その事業を継続する上で問題となるリスクがないか、また、その事業の中で損失となる可能性のある事業がないかを確認します。
対象企業の価値を減少させるリスクはないか
事業内の法的問題を解決したことにより、対象企業の収益性が減少する、もしくは資産が失われる、企業価値を減少させる事業がないか確認します。
M&Aを阻害する原因となる法規制がないか

4.3 法務デューデリジェンスの手順

法務デューデリジェンスは、以下の手順で行われます。
調査体制の検討:まず、調査体制を検討します。調査は、内部の法務部門だけでなく、外部の専門家に依頼することもあります。
資料開示請求:対象企業に資料の開示を請求します。開示を請求する資料には、組織、株式の内容、運用状況、契約上のリスク、状況、紛争、許認可、コンプライアンス、資産、利益などに関する資料が含まれます。
資料をもとに分析:開示された資料をもとに、法的問題やリスクを分析します。
経営・面談:リスク分析の結果、問題点や課題があった場合には、対象企業の経営陣と面談を行い、さらに詳細な情報を入手します。
ディールブレーカーの懸念・価格:問題点やリスクが、M&Aのディールブレーカー(取引の打ち切りを決定決定する課題)となる可能性があるか判断します。
5. まとめ
M&Aは、企業の成長と拡大のための重要な戦略ですが、同時に多くのリスクも伴います。M&Aを成功させるためには、法務リスクのリスク評価を行いましょう。

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