2025.07.26
M&Aコラム
消えゆく書店を救いたい!M&Aで業界に新たな風を
近年、書店の倒産・休廃業件数が増加しています。街から本屋さんが消えて、無書店になってしまった自治体の数も増加傾向に。今回は、縮小し続ける業界の振興に、M&Aがどのように役立つかをご紹介します。
書店の現状について
地域の文化拠点の一つに数えられる書店。そんな書店の姿が、街角から消えつつあります。ここでは、日本の本屋・書店の歴史と現状についてまとめてみました。
- 日本における本屋・書店の歴史
日本で写経の専門職「経師(きょうじ)」が誕生したのは、奈良時代のことでした。平安時代になると、製本作業の他、本の売買を手掛ける経師も現れます。糸綴じの本が主流になった室町時代、応仁の乱が収束した後の京都で、古本を扱う店が寺社周辺の町衆の中から現れました。書籍を販売する店を本屋と呼びますが、これは1609年に、京都室町通近衛町で本の販売を始めた「本屋新七」と言う商人の屋号に由来します。江戸時代の中頃になると、寺小屋が全国に広まり、庶民の間でも識字率が高くなります。こうして、読書文化が育った江戸時代には貸本屋と呼ばれる職業が生まれた他、数多くの書店が開業しました。 - 減少の一途を辿る書店
江戸時代から増え続けた書店も、現在では減少する一方です。2024年に出版文化産業振興財団が実施した調査によると、書店が全くない自治体が全国で27.7%(482自治体)、書店が一軒以下の自治体は47.4%(825自治体)であることが明らかになりました。また、電子出版の市場規模が拡大しているのに対し、書店で販売されている本や雑誌の売り上げは芳しくありません。出版業界の公的な調査研究機関である出版科学研究所の調べによると、本と雑誌の売り上げは1996年のピークを境に下り坂となり、27年後の2023年には約半分にまで落ち込んだことが判明しました。特に目立ったのが、雑誌の売り上げの落ち込みです。これまで雑誌の薄利多売でなんとか経営できていた書店の大半が、現在、倒産・休廃業に追い込まれています。 - 書店の振興に向け国も動き出した
日本政府は、全国的な書店数の減少が、国の競争力低下につながることを懸念しています。2024年、支援に乗り出した国は、経済産業省内に「書店振興プロジェクトチーム」を発足させ、文化の基盤であり、地域コミュニティの拠点となり得る書店振興のための対策に力を入れることを明らかにしました。2024年10月には、「書店経営者向け支援施策活用ガイド」を公表し、国の補助金制度の活用を呼びかけています。例えば、売上の拡大や業務効率を高めるために、小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金を活用することができるかもしれません。さらに、このガイドの中では、書店の事業承継やM&Aを支援するため、事業承継・引継ぎ補助金の活用も検討できることが記載されています。
M&Aが書店活性化のカギ?
ひと口にM&Aと言っても、様々な形態や手法があります。ここでは、書店振興のために活用できるM&Aについてご紹介します。
- M&Aによる業界再編は難しい
縮小傾向にある業界では、M&Aによる業界再編が行われる場合が少なくありません。実際、物流業界や建設業界では、業界再編型M&Aが進んでいます。しかしながら、書店の業界では一般的な流れが当てはまらず、業界再編型M&Aよりも、異業種M&Aや事業承継M&Aが活発な傾向にあります。業界再編が進まない理由としては、価格競争が起こらない業界であること、そしてビジネスモデルが違う大手書店が中小の書店を傘下に引き入れても、デメリットこそあれ、メリットはほぼないに等しいことなどが挙げられます。 - 異業種M&Aで個性を強みに
書店を存続させるためには、書籍を販売するだけではなく、「書籍+α」の業務開発が求められる時代になりました。小売業をはじめ、飲食業や宿泊業など、様々な業種と親和性が高いため、異業種からの参入に意欲を燃やす企業も少なくないようです。 個性的なブックカフェ開業を目指し、M&Aのマッチングサイトでめぼしい書店を探す企業や投資家もいます。また最近では、 DNP(大日本印刷株式会社)が書店開業を支援するサービスを始めるなど、異業種を組み合わせることで個性を打ち出し、書店存続を目指す動きが見られます。 - 事業承継M&Aの事例
書店が事業承継・引継ぎ補助金を活用し、事業承継M&Aを実施する事例も増加しています。
<事例>
●1933年に宮崎県で創業した書店が、2022年に事業承継・引継ぎ補助金を活用して親族内承継を実施。現経営者は、経営革新に取り組むために補助金を活用し、「食」をテーマにした書店づくりを行うことに。書店内に地元の農産物直売所と地元料理を盛り込んだ弁当・惣菜の販売スペースを設け、「書店+α」を成功させました。
■まとめ
全国各地で減少している書店。そんな書店の現状を救うため、様々な対策が取られています。M&Aは、異業種からの参入や事業承継で活用されており、書店振興の対策として有用です。補助金制度を設けるなど、国も積極的に書店のM&Aを支援する姿勢を見せています。それらを上手く活用し、個性的な書店づくりを行うことが存続のカギだと言えるでしょう。
最後に
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